法律Q&A 夫婦生活・離婚・養育費「調停離婚の際、妻は旧姓に戻すことを承諾していたのに、離婚手続きの時に婚姻時の姓にしてしまった。妻に氏を変更するよう求めることはできるか。」

調停離婚の際、妻は旧姓に戻すことを承諾していたのに、離婚手続きの時に婚姻時の姓にしてしまった。妻に氏を変更するよう求めることはできるか。

調停離婚の際、妻は旧姓に戻すことを承諾していたのに、離婚手続きの時に婚姻時の姓にしてしまいました。私から妻に氏を変更するよう求めることはできますか。



離婚した場合、婚姻時に姓を改めた側の配偶者は、婚姻前の姓に当然に復氏することが原則です。しかし、社会の中で婚姻後多くの関係を既に構築してきているその配偶者にとって、無条件に前の氏に戻ることは、その配偶者(多くの場合妻)のその後の生活に支障を来たします。そこで、昭和51年に民法が改正され、婚姻後3ヶ月以内であれば、離婚によって復氏した配偶者は婚姻時の氏を続称することが認められました。このように、婚氏続称は、離婚によって氏を変更せざるをえない配偶者の保護をもっぱら目的としています。従って、その権利の行使も、もっぱらその配偶者のために行使されなければならないと考えます。また、婚氏続称は、身分行為ですから、その行為をする人の真意が必要です。言い換えれば、本人の意思だけが要件となります。つまり、たとえ契約などで本人が「婚氏続称はしない」としていた場合であっても、届を出す時点で婚氏続称することを自ら欲しているのであれば、その届は有効であることになります。このことは、例えば、「絶対あの人とは結婚しない」という約束をしていたとしてもその後気が変わって真意で婚姻届をだしてしまったら、その婚姻を取り消すことが出来ないのと同じと考えられるでしょう。但し、婚氏続称を取り消す強制手段がないことと、約束違反について、債務不履行の責任を問い得ないかどうかは、別の判断が必要です。婚姻予約の不履行が損害賠償の対象になるように、責任を問いうる可能性もあると思われます。しかし、調停調書にそれが記載されているのであれば証明は簡単ですが、そうでなければ、一般にそれを証明することは難しいでしょう。また、婚氏続称しないことと調停内容や離婚条件とが結びついていて、婚氏続称しないことの見返りなどが与えられている、といった場合以外は、婚氏続称しないことを強制する内容の契約は、公序良俗(民法90条)に違反して無効とされる可能性が高いと思われます。更に、契約が仮に有効とされたとしても、それを直接的に強制執行で実現することは許されないものと思われます。



執筆日20041021

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